研究課題/領域番号 |
63550675
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西 則雄 北海道大学, 理学部, 助手 (70001857)
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研究分担者 |
堤 耀広 北海道大学, 工学部, 教授 (80000884)
戸倉 清一 北海道大学, 理学部, 教授 (40000806)
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キーワード | 高機能性人工タンパク質 / プロタミン / DNA結合タンパク質 / DNA凝集メカニズム / プロタミンモデルペプチド / RNAポリメラ-ゼ / 細胞接着性蛋白質 / 癌転移抑制 |
研究概要 |
「高機能性人工タンパク質の化学合成」のタ-ゲットとしては、昭和63年度に引き続き魚類精子核中のDNA結合蛋白質プロタミンを中心に研究を進めた。また、より高度なDNA認識機能をもつと思われるDNA結合蛋白質、RNAポリメラ-ゼにつきその合成化学的な研究をスタ-トした。さらに、当初の計画にはなかったが、癌の転移を抑制するという高機能性人工タンパク質の化学合成において大きな成功を収めた。 (1)プロタミンの構造-機能関係を調べるための合成化学的アプロ-チとしてプロタミンの2量体、3量体、等を合成し、これとプロタミンとの機能の比較からプロタミンのDNA凝集メカニズムは単にArg残基による静電的な相互作用のみでは説明がつかず、プロタミンの折れ曲り構造のような立体構造の関与が示唆された。(2)そこで次に折れ曲り構造に大きく関わっていると思われるプロタミン中の2つのPro残基をArgに置換したプロタミンアナログを全合成しこれのDNAとの相互作用を詳細に調べたところ、このアナログはプロタミン機能の多くの特色が消失していた。Pro残基の重要性が具体的ち示唆されたといえる。(3)そこで、昭和63年度より進めてきたProを含む単純化したプロタミンモデルやこのモデル中のProをGlyに置換したペプチド、さらにはこのProを含まないArgのみのペプチドにつきそのコンホメ-ションやDNAとの相互作用を比較し多くの知見を得た。(4)RNAポリメラ-ゼIIの最大サブユニット中に最近見出されたヘプタペプチドの繰り返し部分をペプチド合成の手法とDPPAを用いる重合法で合成しつつある。(5)細胞接着性の蛋白質であるフィブロネクチンやラミニン中の細胞接着部位ペプチド配列を繰り返しもつ規則配列ポリペプチドを合成した。このポリペプチドは癌の転移を著明に抑制し、高機能性人工タンパク質の化学合成が大きな成功を収めた例と言える。
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