本課題では、無機超微粒子として超微粒子シリカ(平均粒子径、16nm)と超微粒子酸化チタン(平均粒子径、90〜150nm)とを選び、粒子表面への感光性ポリマーのグラフト及びそのレジスト材料への応用について検討した結果、以下のような研究所成果が得られた。 1.無機超微粒子をγ-マリシドキシプロピルトリメトキシシランで処理することにより導入したグリシジル基と4.4[^<´]>-アゾビス(4-シア)バレリン酸)との反応による、粒子表面へのアゾ基の導入法を確立した。 2.アゾ基を導入した無機超微粒子により、クロルメチルスチレンやメタクリル酸グリシジル、ラジカル重合が開始され、粒子表面へ効率よくこれらの感光性ポリマーがグラフト(グラフト率=30〜80%)することを見い出した。また、グラフト鎖の分子量は連鎖移動剤を添加することにより、ある程度調節できることもわかった。 3.無機超微粒子を4-メトキシテトラヒドロ無水フタル酸、ついで水酸化カリウムど処理することにより、粒子表面へ導入したカリウムカルボン酸塩基により、感光性基を持つエポキシドと酸無水物とのアニオン開環交互共重合が開始され、感光性ポリエステルが粒子表面へグラフトすることを明らかにした。 4.感光性ポリマーグラフト超微粒子を分散させたポリマーの引っ張り強度は、未処理の超微粒子を分散させたものとは異なり、超微粒子を多量に配合してもあまり低下しないことがわかった。また、グラフト率が大きい程、その効果も大きいことが明らかになった。 5.高グラフト率の感光性ポリマーグラフト無機超微粒子を高濃度で分散させた材料の電子線レジストとしての解像度や耐エッチング性を未処理のものを分散させた材料と比較したところ、これらの性能には大きな差異は認められなかった。
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