双環オキサラクタム(1__〜)、εーカプロラクタム(2__〜)、および2ーピロリドン(3__〜)のアニオン重合能を比較するため、それらの生長末端モデルであるNーアシル化物(4__〜)とnーブチルアミンとをDMF中、25℃で反応させた。単環ラクタムの場合は環外カルボニル基のみが反応するのに対し、双環ラクタムの場合は環内のラクタムカルボニル基も反応した。ラクタムの結晶構造解析により得られた結合角の比較から、双環構造のもつ環歪みが、双環ラクタムの開環反応性を増加させているものと推測した。カルボニル基のαーメチン炭素原子上のエーテル基もカルボニル基の反応性をかなり高めるものと思われる。 環内カルボニル基の反応性が最も高い1__〜のアニオン重合を、触媒のピロリドンカリウム塩及びモノマー初濃度を低くして、窒素雰囲気下、ジメチルスルワキシド中、25℃で行い、生成したポリアミドを定量的に単離した。活性化剤として1__〜アシル化物を2mol%用いた場合、ほぼ20分で平衡重合率84%(モノマー濃度、0.36mol/l)に達した。最も注目すべき点は重合率60%以内で分子量分散がM_w/M_n=1.1前後の単分散性ポリアミド5__〜が得られたことである。その末端基濃度をNMRスペクトルのピーク強度比から求めて評価した数平均分子量は、重合率が増加するにつれてほぼ直線的に増加した。しかもそれらは重合反応で消費された活性化剤とモノマーの量からの計算値と一致した。以上の結果から、活性化剤が重合初期にすべて消費され、生成した生長連鎖末端が重合途中で失活しなかったと推測した。
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