双環ラクタム1__〜の速度論的アニオン重合能を、対応する単環ラクタム、ε-カプロラクタム、および2-ピロリドンの場合と比較するため、それらの生長鎖末端モデルであるN-アシル化物の加アミン分解を同一条件下で行った。単環ラクタムの場合は環外カルボニル基のみが反応するのに対し、双環ラクタムの場合は環内カルボニル基も反応した。双環構造に由来する環歪みと、ラクタムのカルボニル基に隣接する炭素原子上のエ-テル基の電子的効果とが、1__〜の速度論的反応性を高めているのであろう。環内カルボニル基の反応性が最も高い1__〜のアニオン重合を、ジメチルスルホキシド中、25℃で行うと、活性化モノマ-機構で副反応を伴うことなく進行した。その結果、片末端が活性化剤残基、他の末端がアシルラクタム型生長鎖末端である、構造の明確なポリアミドが単離できた。得られたポリアミドのアシルラクタム末端基を、種々の反応性末端基に化学変換して、多成分系高分子の成分として有用なポリアミドを得た。また、1__〜のアニオン重合の際、25〜51℃で残存モノマ-と生成ポリマ-との間に平衡が成立することを確認した。そこで、触媒のピロリドンカリウム塩及びモノマ-の初濃度を低くして、1__〜のアニオン重合を行うことにより、M_W/M_nが1.1以下の、分子量分布が狭いポリアミドを得た。
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