研究概要 |
ヒドロシリル化反応は有機合成によく用いられる手法であるが、これを直接高分子合成に利用して、新規の機能性ポリマーを得ようとするのが本研究の目的である。二官能性のオレフィン類とSiーH結合を二個有する化合物とのヒドロシリル化反応を行うことにより、重付加が起こり、新しいタイプの含ケイ素高分子が得られた。 ジオレフィン類としては、1,6ーヘプタジエン、1,7ーオクタジエンなどのα,ωージオレフィンの他、1,7ーオクタジインなどのジアセチレン類、ジアリルエーテル、ジアリルアミン、ジアリルスルフィドなどのヘテロ原子を含むジエン類、ジアリルベンゼン、フタル酸ジアリルなどの芳香環を有するものを用いた。また、SiーH化合物としては、ジメチルシラン、ジフェニルシラン、テトラフェニルジシロキサンなどを用いた。これらを種々組み合わせて塩化白金酸を触媒としたヒドロシリル化反応を行うと、いずれの場合も、分子量数千の対応する含ケイ素ポリマーが得られた。ポリマーの構造は、IR、NMR、及び元素分析などの手段を用いて確認した。 また、SiーH化合物として、α,ωー両末端にSiーH結合を有する、いわゆるテレケリックポリシロキサンを用いたところ、オレフィン末端のポリメタクリル酸メチルとの反応により、ABA型のポリメタクリル酸メチルーポリシロキサンブロックポリマーが得られた。 更に、ヒドロシリル化と類似の反応として、ジオレフィン類とモノアルキルボランとの重付加反応、すなわちヒドロボレーション重合を行うことにより、対応する含ホウ素ポリマーが得られた。このポリマーは、その主鎖骨格にCーB結合を含んでおり、新しいタイプの反応性高分子として期待できる。例えば、一酸化炭素との反応により、ポリアルコールを合成することができた。
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