アシルオキシイミノ(AOI)基をもつ共重合体として、Oーアクリロイルアセトフェノンオキシム(AAPO)あるいはOーメタクリロイルアセトフェノンオキシム(MAAPO)とスチレン(St)あるいはメタクリル酸メチル(MMA)の共重合体を用い、固相(フィルム)光反応におけるアミノ基生成について検討した。AAPO(26.3)ーStフィルムで、アミノ基導入の収率は69.9%であり、他に28.0%の収率で二重結合が生成した。アミノ基の収率は、共重合体中のコモノマー、照射波長、照射時の雰囲気の影響をうけないが、AOI基の含有量を100%(ホモポリマー)にしたとき、25%まで低下した。MAAPO(28.3)ーStフィルムの窒素下での光反応ではアミノ基の収率は21.5%であったが、主鎖中の二重結合の他にビニリデンタイプの二重結合が生成し、二重結合の収率は62.7%となった。空気下では二重結合の収率は30.2%まで低下し、このとき著しい主鎖切断がみとめられた。AAPO系共重合体の光反応で効率よくアミノ基が導入できることがわかったので、アミノ基の利用について検討した。AAPO系共重合体フィルムを光照射後塩酸処理すると、光照射部の親水性が増加し、親水化の程度は生成するアンモニウム塩の濃度に依存するだけでなく、コモノマーに大きく依存し、極性の高いMMA共重合体の方が、St共重合体よりも高かった。また光照射部は酸性染料(コンゴーレッド)で選択的に染色させることができ、このときもコモノマーの影響は大きく、MMA共重合体の方がSt共重合体よりも効率よく染色できた。光照射部の親水化、可染化においては、導入されたアンモニウム塩とコモノマーの協同作用により機能が発現されることが明らかとなった。さらに、光照射部のアンモニウム塩濃度が増加すると、未照射フィルムの非溶媒であるメタノールに可溶となることを見出し、AAPO共重合体がポジ・ネガ両用型フォトレジストに応用できることを明らかにした。
|