光開始によるアミノ基生成を活用する機能性高分子材料の開発と応用

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63550690
• 研究機関: 大阪府立大学
• 研究代表者: 角岡 正弘 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (50081328)
• キーワード: 光開始 / アシルオキシイミノ基 / O-アクリロイルアセトフェノンオキシム / O-メタクリロイルアセトフェノンオキシム / アミノ基 / 極性変化型高分子 / 主鎖切断 / フォトレジスト

研究概要

アシルオキシイミノ(AOI)基をもつ共重合体として、O-アクリロイルアセトフェノンオキシム(AAPO)あるいはO-メタクリロイルアセトフェノンオキシム(MAAPO)とスチレン(St)あるいはメタクリル酸メチル(MMA)の共重合体を用い、固相(フィルム)光反応について検討した。AAPO系共重合体の光反応では、昨年の結果よりアミノ基が効率よく導入できることがわかっているので、このアミノ基をアンモニウム塩に変えることにより、AAPO共重合体が極性変化型高分子として利用できるかどうかについて検討した。AAPO(29.1)-Stフィルム(厚さ0.1μm)中のAOI基をほぼ100%光分解したあと塩酸処理したものと、未照射のものについて溶解性を比較したところ、未照射フィルムは溶解性パラメ-タ-(SP)が、8.5〜10.1の溶媒(酢酸ブチル、ベンゼン、トルエンなど)に溶解したが、光照射後塩酸処理したものは、SP値が12.8〜17.0の溶媒(エタノ-ル、メタノ-ルなど)に溶解するようになることがわかった。この結果をもとに、AAPO共重合体のポジ・ネガ両用フォトレジストへの応用について検討した結果、AAPO-St、AAPO-MMAともにポジ・ネガ両用レジストとして利用できるが、ポジ型の方が現像時の膨潤がなく、高解像度(〜1μm)が得られることがわかった。一方、MAAPO共重合体はアミノ基導入の観点からはAAPO共重合体より効率が悪いが、主鎖切断が効率よくおこった。MAAPO共重合体の主鎖切断効率すなわち、AOI基の分解量に対する主鎖切断の割合(β(%))はAOI基の分解が進むにつれて、また、AOI基の含有率を増やすことによって加速的に増大することを見出した。昨年度報告したように、MAAPO(28.3)-Stでは約30%の収率で二重結合が導入されることから、この加速現象は、AOI基が二重結合へ変化することにより、共重合体のガラス転移点が下がり、光照射温度以下になったとき、β値が著しく増大することを実証した。

研究成果

• [文献書誌] M.Tsunooka: "Changes of Chemical Structures in the Photodegradation of polymer Films and Accelerated Photodegradation Behavior." J.Photopolym.Sci.Technol.,. 2. 249-252 (1989)
• [文献書誌] K.-H.Song: "A Positive-Type Photoresist Utilizing Photoinitiated Introduction of Pendent Amino Groups." J.Photochem.Photobilo., A,. 49. 269-272 (1989)
• [文献書誌] K.-H.Song: "Accelerated Photodegradation in the Solid Phase of Styrene Copolymers Bearing O-Acyloxyimino Groups." Polym.Degrad.Stab.,. 26. 255-267 (1989)
• [文献書誌] K.-H.Song: "Photomodification of Polymer Surface by Utilizing Photoinitiated Amino Groups Formation.-Effects of Comonomers on the Dyeing of Irradiated Polymer Surface." J.Appl.Polym.Sci.,.
• [文献書誌] M.Tsunooka: "Photoinitiated Amino Groups Formation in a Polymer Matrix and Its Applications." Proc.MRS Int.Mtg.on Adv.Mats.12. 357-361 (1989)
• [文献書誌] M.Tsunooka: "Photochemical Reactions of Copolymers Bearing Acyloxyimino Groups in the Solid Phase and Applictions." Chem.of Func.Dyes(Proc.1st Int.Symp.on Chem.Func.Dyes). 194-197 (1989)
• [文献書誌] M.Tsunooka: "Photo-initiated Introduction of Amino Groups and Image Frmation in Polymer Films." Proc.Int.Symp.on Polym.for Microelectronics,in press.