研究課題/領域番号 |
63550695
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
斎藤 正三郎 東北大学, 工学部, 教授 (00005224)
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研究分担者 |
猪股 宏 東北大学, 工学部, 助手 (10168479)
今野 幹男 東北大学, 工学部, 助教授 (40125547)
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キーワード | ヒドロゲル / 相転移 / 分離膜 / 複合膜 / 透過機構 / 細孔理論 |
研究概要 |
水溶性高分子を架橋することによって得られるヒドロゲルは、溶液中において温度や溶媒組成を変化させることにより、その体積が100倍〜1000倍変化す、いわゆる相転移現象を発現する。この特性の応用法としては種々のものが考えられるが、その一つとして、スイッチ機能を有する分離膜がある。本研究では、ゲルの機械的強度に劣る点を無機多孔体との化学結合による複合化法を用いて克服し、その透過特性を検討した。実験に用いたゲルは、溶媒組成によって相転移を起こすアクリルアミド/アクリル酸共重合体ゲルと、温度変化によって相転移を起こすN-イソプロピルアクリルアミドゲルの2種類である。無機多孔体としては多孔質ガラスを用いた。まず、2種類の複合膜について、相転移前後の溶液透過特性を調べ、塊状ゲルの膨潤実験と比較した。その結果、両者とも塊状ゲルが収縮状態にある条件における透過係数が、膨潤状態にある証券の場合に比較して、100倍以上大きくなることがわかった。また、担体の細孔径は透過特性の変化に影響せず、透過特性を支配するものはゲルの性質であることがわかった。さらに、相転移前後の分画分子量の変化を調べたところ、透過係数が大きい条件では分画分子量が大きく、透過係数が小さい条件の50〜100倍であった。また、透過液と供給液の溶媒組成には変化がなく、透過係数は圧力の一次に比例した。以上のことから、ゲル膜の透過機構は、細孔理論によって取り扱えることが示唆された。細孔理論に基づく理論計算の結果、分画曲線の推算結果は、実験結果と良好に一致した。続いて、より詳細に透過機構を検討するために、ゲル膜中のトリチウムの拡散実験をおこなった。その結果、実験結果を細孔理論に基づいて解析すると、ゲル膜の存在する細孔は、ゲルが膨潤状態から収縮状態に転移すると、細孔半径が約5倍になると共に、細孔数は逆に1/50〜1/100程度に少なくなることがわかった。
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