1)C/Cコンポジット内炭素析出反応にともなう細孔構造変化の測定 プロピレン分圧25kPa、850℃において、初期空隙率0.4の2次元C/CコンポジットのCVIを行った。反応時間は、30分、1時間、3時間、10時間、20時間、35時間とし、炭素析出させた製品の重量、空隙率およびKr表面積を測定した。空隙率の減少速度は、反応中一定であった。炭素析出反応にともない表面積は、増大した後減少した。炭素析出反応速度は重量変化から評価した。その結果、炭素析出反応速度は空隙率とは相関がなかったが、表面積あたりの炭素析出反応速度は、反応中ほぼ一定値を示した。したがって、プロピレン分解反応は細孔空隙ではなく、細孔表面で生じることがわかった。 2)CVIにともなう細孔構造変化の数学モデル 1次元炭素繊維上への炭素析出反応にともなう細孔構造変化をSEMにより観察した結果、反応の初期においては円筒状繊維上への炭素の析出により表面積が増大し、ある程度反応が進行すると円筒状炭素の一部が重なり合いその結果表面積が減少することがわかった。重なり割合を統計的に評価することにより、表面積と空隙率の関係を初期表面積および初期空隙率のみの関数として記述することができた。本実験に用いた1次元炭素および初期空隙率0.4の2次元C/CコンポジットのCVI反応にともなう表面積の変化をこのモデルにより記述することができた。 3)細孔構造の耐酸化性にあたえる影響 CVIにより製造したC/Cコンポジットの900℃におけるCO反応速度を測定することにより、耐酸化性の評価を行った。反応にともなうガス化速度の変化過程は表面積の変化過程とほぼ一致した。また、本研究で得られたC/Cコンポジットの細孔表面積あたりのガス化反応速度は、過去我々が評価した種々の炭素についての値とほぼ一致した。
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