硝酸鉄(III)と水酸化バリウム及びゲ-タイト(α-FeooH)と水酸化バリウムの二種類の出発原料を用いて、バリウムフェライト(BaO・6Fe_2O_3)超微粒子を水熱合成した。アルカリ(NaOH)濃度、撹拌速度、水熱温度及び時間と生成粒子形態、大きさの関係を調べ、磁気記録材料として要求される0.1μm以下の六角板粒子の生成する条件と粒子生成機構を明らかにした。 硝酸鉄(III)と水酸化バリウムを原料とする水熱合成では、反応初期には核生成と粒成長が並発するが、1〜2h以後はオストワルドライプニングによる粒成長が支配的になる。高温、したがって高圧ほど粒成長は速くなり核生成の過程と重なり合う期間が短くなるので、核数は少なくなり大きな粒子まで成長する。アルカリモル比(R=[OH^-]/[NO_3^-])が大きいほど、また撹拌速度(n)が大きいほど粒径は小さくなり、R≧6、n≧300rpmのとき平均粒径0.1μm以下、厚み0.02μm以下の六角板粒子が生成した。ゲ-タイトと水酸化バリウムを出発原料とするときもサブミクロンの大きさの六角板バリウムフェライトが生成した。処理温度が300℃のとき、短時間の水熱処理でバリウムフェライトが生成し、処理時間が長くなると粒径は減少した。これは水熱処理で結晶化が促進されるためと考えられる。処理温度が高いほど、撹拌速度が速いほど、またアルカリ濃度が高いほど粒子は細かくなる。 ゲ-タイト粒子の粒度分布の不確定性は生成バリウムフェライト粒子径の不揃いの原因となるので、大きさの揃ったゲ-タイト極微粒子の生成条件について検討した。反応器として二重管式気泡塔を用い、酸素濃度を反応完結まで一定に保つのではなく、反応初期の核発生の後に酸素濃度を下げて酸化反応を遅くすると、粒径が揃ってくる(幾何標準偏差1.18以下)ことを見い出した。
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