動物細胞による有用物質の生産を効率化するため種々の固定化法を検討した。赤血球増殖因子であるエリスロポイエチンに対するモノクロ-ナル抗体を生産するハイブリド-マepo2C、及び好熱菌α-アミラ-ゼに対する抗体を生産するハイブリド-マ16-3Fをアルギン酸で包括した後、ウレタンポリマ-で覆う方法で固定化した。流動層にこの固定化したゲルを充填して培養したところ10^7細胞/mlゲル以上の高細胞濃度が得られ、またリアクタ-体積基準で通常の浮遊培養と比較して10倍近いモノクロ-ナル抗体の生産性が得られた。また数十日以上の長期間にわたり安定に生産が可能であった。 また、実用化されている壁付着性細胞培養担体は高価なので、新たにセルロ-ス系のより安価な細胞吸着体を開発した。この吸着体は現在よく用いられているCOS、CV-1、CHOなどの細胞株をよく吸着した。そこで壁付着性の血管内皮細胞由来のセルラインを固定化し、流動層型バイオリアクタ-を用いて培養したところ、5×10^7細胞/mlゲルという高濃度まで培養できた。またこの吸着体は機械力にも強く、3か月以上安定に運転可能であった。さらに浮遊性細胞であるハイブリド-マを固定化するために、プラス電荷を導入したセルロ-ス系担体を開発した。この担体にハイブリド-マ16-3F株を固定化し、流動層型バイオリアクタ-で培養したところ10^8細胞/mlゲルという高細胞濃度が得られた。 また効率的な酵素の供給法についても検討し比較し、各種通気法を併用することでどの程度の濃度まで細胞の培養が可能であるかを明らかにした。
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