研究課題/領域番号 |
63560003
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷坂 隆俊 京都大学, 農学部, 助教授 (80026591)
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研究分担者 |
奥本 裕 京都大学, 農学部, 講師 (90152438)
山縣 弘忠 京都大学, 農学部, 教授 (40026373)
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キーワード | Mutator / 突然変異 / イネ / 量的形質 / 収量 |
研究概要 |
1.mutatorの実用品種への導入:イネ品種銀坊主のガンマ線種子照射によって誘発されたmutatorは細粒遺伝子の復帰突然変異に伴って活性化し、それとともに他の多くの遺伝子座に突然変異を誘発する。本年度は、mutator保有細粒系統IM294と実用品種間(日本晴、フジミノリ、台中65号)の交雑F_3細粒固定系統(復帰型非細粒個体を含む)を多数用いて、mutator活性の指標である細粒から非細粒への復帰突然変異率を調査した。その結果、mutator活性はいずれの遺伝的背景においても発現すること、ただしその活性度は遺伝的背景によって若干異なることが判明した。2.変異遺伝子の対立性検定:昨年度までに検出し得た突然変異遺伝子と既存の標識遺伝子との対立性検定を行ったところ、mutatorの突然変異誘発効果は少なくとも染色体1、2、3、4、5、9、11に及ぶこと、また同じ表現型でありながら標識遺伝子とは座を異にする突然変異遺伝子のあることが判明した。3.誘発突然変異体の実用諸形質の評価:mutatorによって誘発された多数の出穂期突然変異系統を用いて、葉型および草型に誘発されている遺伝的変異について解析したところ、mutatorはガンマ線と同様に出穂期突然変異とともに葉型あるいは草型突然変異を誘発する場合のあること、また誘発される葉型および草型突然変異には若干方向性のあることなどが判明した。 4.総括:本研究によって、mutatorは単一形質だけでなく複数形質の突然変異も誘発し得ること、mutator誘発突然変異には若干方向性があり、農業上最も重要な収量性に関しては多収突然変異が得られ易いこと、mutatorの突然変異誘発効果は種々の染色体に及ぶこと、mutator活性は種々の遺伝的背景においても発現すること、などが明らかになった。これらの結果は、新しい突然変異原としてmutatorを積極的に利用していく必要のあることを示している。
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