昨年度に引き続き、当研究所が保有するオオムギ約5千品種と、オオムギ品種ふじ二条に3世代にわたって合計90KRのガンマ-線を累代照射した約1万3千の穂系統を対象として、分子・細胞マ-カ-として利用できる変異体を検索した。 検索した形質は葉緑体変異、芒および穀粒のフェノ-ル反応、根端の蛍光反応、幼植物の各種薬剤耐性、幼植物の網斑病菌に対する反応性、貯蔵デンプン成分の変異などである。 その結果、多くの葉緑体変異が得られ、その一部は培養系での形質発現を解析するために、カルスを誘導している。また、高温条件下で発現するアルビノ遺伝子の連鎖分析を行った。 芒および穀粒がフェノ-ルに反応しない品種が見出され、交雑実験の結果、フェノ-ル反応は1個の優性遺伝子に支配されることが明らかになった。フェノ-ルに反応しない品種は全体の0.8%と少なく、また、西南アジアからエチオピアに局在するので、比較的新しい突然変異と考えられる。 紫外線によって、根端が紫色に発色する突然変異体が得られ、劣性1因子に支配されることがわかったが、この変異遺伝子は致死性であるので、培養系で維持するためにカルスを誘導した。 有機燐剤ダイアジノンに対する感受性変異体を見出し、優性1因子に支配されることを明らかにした。その連鎖分析を行い、また、培養系での反応を解析するためにカルスを誘導した。 貯蔵デンプンにモチ性変異体を見出し、デンプンの物性を解析するために種子を増殖した。 幼植物の除草剤耐性の品種変異の評価を始めた。
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