レタス(品種:カイザー)の種子を0.8%寒天上に播き、生じた幼植物から子葉を採取した。この子葉を細く切り、酵素処理をしてプロトプラストを分離した。蛍光顕微鏡にてプロトプラストを観察したところ、葉緑体は青(B)および紫(V)励起の条件下で赤い蛍光を発したが、紫外線(U)励起の条件下で消失した。葉緑体を含まないプロトプラストは、BおよびV励起の条件下で黄色の蛍光を発し、U励起で青い蛍光を示した。 上記のレタスプロトプラストとイネ(品種:日本晴)カルスから酵素的に分離したプロトプラストを用いて細胞融合の実験をおこなった。細胞融合はポリエチレングリコール法および電気的方法でおこなった。何れの方法でも細胞融合はおこるが、反応の途中経過を視察するのには電気融合法の方が便利であった。レタスのプロトプラストは緑色であるので融合過程の観察は容易であった。電場におくと細胞相互の接着がおこり、パルス電圧をかけると、融合は比較的ゆっくりとすすんだ。一方、イネカルスから分離したプロトプラストは無色であり、微分干渉顕微鏡で観察した。細胞接着後パルス電圧をかけると、融合が急速におこり、大型のプロトプラストが出現した。レタスプロトプラストおよびイネプロトプラストを混合し、両者の融合をおこなった。両プロトプラストの識別は色から容易であった。融合がおこると、レタスプロトプラスト中の葉緑体が無色のイネプロトプラスト中に除々に拡散していく過程が観察された。
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