群落構造は受光及びCO_2拡散の両者に関与して光合成・物質生産に影響を及ぼしている。特に群落の草高はCO_2拡散に大きく影響を与える。 本研究は大豆品種Harosoyの有限型と無限型品種を用いて草高の異なる大豆個体群を育成し、上記の観点から草高と群落光合成の関係を実験的に、またシミュレーションによる解析を行おうとするものである。群落構造の解析のために、まず葉身の3次元分布を記述する目的でマニュピレーターを作成した。大豆小葉は楕円近似とする事にして、各小葉の楕円上の4点の3次元座標データを本機で測定しデータ・ロガーに収録した。これをもとに葉の長・短幅長、葉面法線の方位角・傾斜角および葉面積等を計算するプログラムを開発した(使用言語Modula2/86)。圃場での1個体あたりの全小葉(約300枚)の測定に要する時間は約1時間であった。この機械を使用すると大豆葉の調位運動による葉身の傾斜角の日変化の解析が可能となることがわかった。太陽高度の日変化と葉身の傾斜角の日変化の結果生じる小葉の受ける直達光および散光量をもとめるプログラムを開発した。また各小葉の3次元上の位置関係からCO_2拡散係数を求めるプログラムを現在開発中である。 成長解析の結果は草高の高い無限型個体群で全乾物重、葉面積指数および収量は高かった。葉身はあきらかに無限型の群落で空間上に粗に分布しているのに対し、有限型群落では密に分布し、CO_2拡散にとっては無限型が有利であることが示唆された。しかしながら圃場における個葉光合成および植被内の風速分布の測定はまだ十分の結果を得ていないので次年度でさらに実施し、これをもとに群落光合成、乾物生産・成長のシミュレーションを行ない群落の草高とこれらの関係を明らかにする。
|