混作は熱帯における伝統的農法として現在なお多くその実例をみることができる。しかし、混作に関する評価は必ずしも一定していない。この研究は混作を群落として促え、作物生態を群落構造的に調査した。本年度はソルガムと大豆を用い、その各々の単作区およびソルガムと大豆の混作区を設けた。さらに、これらについて密度を異にする3区(畦幅30、40と60cm区)を設けた。現在、得られた結果を分析中であるが、まず4回の層別刈取り法によって、光合成部分および非光合成部分の重量および葉面積指数(LAI)を得た。そして、各生育ステージにおける群落内照度の分布から吸光係数(K)を計算し、各集団内の受光態勢に関する結果を得た。LAIとK値間にはLAIの増加(密度による)に伴って曲線的にK値が低下する傾向が認められた。しかし、その傾向はソルガムと大豆および単作と混作で異なった。一方、生育ステージによっても異なっていた。例えば、ソルガム単作区は生育が進むに従い(出穂に伴う)K値は低下するのに対し、大豆単作および混作区では生育が進むほどK値が上昇する傾向が認められ、受光態勢が悪化するのが認められた。LAIとK値との関係を村田ら(1966)はイネの密植および施肥条件で論じており、LAIの増大に伴う葉の直立がK値の低下の主な原因であるとしている。本調査でも、一般的にこの傾向は認められた。しかし、生育ステージに関係して、ソルガムは生育が進むに従い、K値は低下したが、大豆では生育が進むに従いK値は増大し、受光態勢は悪化した。そして混作区も同様であった。これらの差異は長葉直立型のソルガムに対し、大豆は広葉水平型であり、しかも供試品種のエンレイが晩生繁茂型であることが影響しており、これを含む混作が同様の傾向を示したと考えられる。この点から混作は群落の受光態勢の悪化をもたらすが、この結果が生産性に及ぼす影響については現在分析中である。
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