昨年度に引き続き、日本のみならず中国、台湾、韓国も含め数十品種を比較栽培し、ネギ品種・品種群の類緑関係を解明するべく、種々の形質について調査検討した。 1.プロリン蓄積量 高温乾燥時のプロリン蓄積量は概して加賀群、千住群、中国北方系の品種で高い値を示した。九条群、中国南方系の品種では低い値であった。韓国系の品種ではおおよそこれらの中間的な値が得られた。全ての品種で、適温潅水時に比べて高温乾燥時にプロリン蓄積量が多かった。高温乾燥時のプロリン蓄積量と高温伸長性の間には高い相関があることが明かとなった。さらに他の実験の結果と合わせ、高温乾燥時にプロリンを多く蓄積する品種ほど高温乾燥ストレスに対する耐性が高く伸長性が優れるのではないかと考えられた。 2.アイソザイム分析 PGMについては、3種類のバンドパタ-ンが得られたが、ある特定の品種群に属する品種がある特定のバンドパタ-ンを多く示すといった傾向は認められなかった。 3.温度が発芽率に及ぼ影響 4段階の温度区における発芽率のパタ-ンを調べたところ5種類のパタ-ンに分けられ、一般的に高温伸長性が大きい寒地の品種では発芽適温が高く、低温伸長性が大きい暖地の品種では発芽適温が低いという傾向が認められた。 なお、耐雪性については、本年度も暖冬のため比較栽培した福井でほとんど降雪がなく、十分な解析をするには至らなかった。
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