ツツジ属の黄色の花色の発現にはカロチノイドやクロロフィルの他に、フラボイノドの一種ゴシッペチンが関与するとされているが、実際にはクロロフィル単独型、ゴシッペチン単独型、クロロフィル・カロチノイド共存型、クロロフィル・ゴシッペチン共存型及び三者共存型の5型に分れること、またそれぞれの色素含量には可なり大幅な品種間差があることを明らかにするとともに、特に有望な色素型のものを親として多数の交配を行った。ブルー系の花色については有鱗片シャクナゲに特に有望な素材があること、但しその花色は青色に最も関連が深いとされるデルフィニジンの含量とは必ずしも強い係わりがなく、アシル化やコピグメント化など他の要因も無視できないこと、また有鱗片シャクナゲには遺伝的不稔や交配不和合現象が、可なり広く存在することなどを明らかにした。また純白系の花色についてはツクシシャクナゲを主体に分析し、白は白でも白かりようの違う優れた純白花には、メチル化フラボノールが存在しないこと、逆にその存在は花色に濁りを与えることを明らかにして、優れた純白花創出への道を拓くとともに、多数の白花相互間の交配を実施した。ペラルゴニジンの本属への導入に関しては、この色素に対応したフラボノール、ケムフェロールの存在に注目して分析を行った。その含量は全般的には10%以下のものが大半を占めたが、種や系統によっては可なり含量の高いものがあり、特にタイワンやアカボシシャクナゲ系には20〜30%のものが多く、中には42%に及ぶものも含まれていた。これらはいずれも高度の耐暑性をもっており、本春はこれら相互間に大規模な交配を実施して、本色素の集積を計る予定である。なお、購入したHPLC用オートサンプラーは多数の試料を迅速・正確に分析するのに、非常に有効であった。
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