国内外からショウガ系統収集を行い、核型分析および減数分裂の観察を行って、不稔性の原因を明らかにした。また、花粉稔性および花粉発芽性に関する変異を調査して、結実の可能性を検討した。一方、稔性の回復および倍数性育種による遺伝的変異拡大を図る目的で、4倍体育成条件についても検討した。 1.核型分析および減数分裂。(1)核型分析によって不稔性の原因を示唆することは困難であった。(2)‘三州'の減数分裂の調査により、不稔性は染色体逆位によっ生じていることが示唆された。 2.花粉稔性および花粉発芽性の種内変異。(1)収集した系統の花粉稔性は0%〜20%に変異した。(2)花粉発芽条件は、1%寒天、100ppmホウ酸および3%ショ糖添加の培地の30℃条件が最適であった。(3)収集系統には花粉発芽性に関し、0%〜0.2%の変異があった。 3.In vitroにおける4倍体の作出。(1)4倍体作出の培地条件は、in vitroにおける頂芽の形態形成調査により、0.05ppmNAA+2ppmBA添加のMS基本培地とした。(2)コルヒチン処理期間は、コルヒチン濃度を0.2%としたとき、液体培地および寒天培地で8日間が最適であった。(3)育成した4倍体は、草丈の増大、分げつ数の減少と塊茎の大型化に伴い、晩生化した。そのため出蕾は低温期にあたり、花粉稔性および花粉発芽性を観察することはできなかった。 以上の結果より、収集した系統には、花粉稔性および花粉発芽性に変異が存在した。したがって、不稔性の原因および程度にも変異が存在する可能性がある。このことより更なる高発芽性系統の探索は必要である。育成した4倍体の花粉発芽性の検討と試験管内育種の素材としての利用を考える必要がある。花粉発芽性のある系統については、柱頭上花粉発芽および花柱内花粉管伸長の条件を検討する必要がある。
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