ウリ類炭そ病菌の形質転換システムの構築のために、形質転換系のマーカーとなる薬剤耐性遺伝子のクローニングを試みた。薬剤としては真核生物の微小管形成を阻害する薬剤であるベノミルを用いた。本研究ではアカパンカビのベノミル耐性微小管構造蛋白質のβーtubulinをプローブとしてウリ類炭そ病菌のゲノムライブラリイーよりベノミル耐性βーtubulin遺伝子をクローニングした。1.ベノミル耐性変異株の分離 紫外線照射により突然変異を誘起し、ベノミル耐性変異株を5株分離した。そのうち、Bmr-1株と命名した薬剤耐性株を遺伝子のクローニングに用いた。2.プロトプラストの作製法 形質転換およびゲノムDNAの分離のためにプロトプラストの作製法を確立した。液体振とう培養した菌体に硫酸マグネシウム溶液中でセルラーゼNovozym234を処理し、大量のプロトプラストを得た。3.ゲノムDNAの分離・調製 プロトプラストに塩酸グアニジン処理し、プロトプラストの破壊と蛋白質の変性を行い、プロテネース処理、RNA分解酵素処理、フェノール/クロロホルム抽出により高分子のDNAを得た。4.ゲノムライブラリーの作成 Bmr-1株のDNAを制限酵素Sau3AIで部分分解し、15〜20kbのDNAをラムダファージベクターのXhoI部位に挿入し、Bmr-1株ゲノムDNAのライブラリーを作成した。5.プラークハイブリダイゼーション Bmr-1株ゲノムDNAライブラリーからのプラークをニトロセルロースに写し取った。これに、^<32>Pで標識したアカパンカビのβ-tubulinDNAをプローブとし、ハイブリダイゼーションを行い、7つのクローンを分離した。このうちの4つについて制限酵素による解析を行った。
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