研究課題/領域番号 |
63560052
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
鳴海 多恵子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (90014836)
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研究分担者 |
岩崎 芳枝 郡山女子大学, 人間生活学科, 教授 (40014659)
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キーワード | 絹織物 / 絹混用織物 / ユニバ-サル型摩耗試験 / 摩擦強度 / 引張強度 / 摩擦抵抗力 / 試験値 / 再生繊維 |
研究概要 |
本年度は、まず、ユニバ-サル型法による摩耗強度試験法において試験値の安定性に問題があることから、試験条件について検討を行い、その結果を踏まえ絹織物の摩耗強度と物理的性能との関係について検討した。また、絹織物の耐久性の改善方法として他繊維との複合が考えられることから、近年の市販絹混用織物の混用繊維の種類に関する実態調査を行うと共に、混用による摩耗強度への影響についても検討した。ユニバ-サル型法にとける摩耗強度試験法は機械的な問題点もあるが、本実験では機械的条件は現況の通りとして、試験室環境の影響、摩耗粉の除去、試験回数との関係について検討した。その結果、試験室環境は特に湿度の影響が大であり、試料布の調整を行った上に、摩耗物も同様の条件で調整する必要がある。また、摩耗粉の除去を一定条件のもとで行うことは、試験値の安定性を図る上で不可欠であることが明かとなった。本実験では、前期条件に加え、試験回数は10回を1単位として複数繰り返すことにより、安定した試験値を得、摩耗強度と布の引張特性および摩擦特性との関係を検討した。その結果、タテ糸方向の引張強度および摩擦抵抗力との高度な相関が認められた。近年の絹混用織物における利用混用繊維の調査結果は、キュプラ、レ-ヨン、ポリエステル、綿が利用されており、特に再生繊維の利用が多く見られた。混用による摩耗強度への影響については、これらを混用した絹織物と、同一設計により製織された絹単独織物を用いて比較を行った。その結果、繊維の物理的性能が絹よりも優れた綿との混用のほか、再生繊維との混用においても摩耗強度が大となったものもみられたが、いずれも有為な差としては認められなかった。キュプラとの混用において、交織をした布目方向の引張強度は低下するが、他の方向においては増加する傾向が見られ、交織による効果については今後の検討課題としたい。
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