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野蚕絹糸虫類のヤママユガ科のSamia属について、Nativeーポリアクリルアミド電気泳動法(NativeーPAGE)を用いてエステラ-ゼアイソザイムを調べ類縁関係を比較検討した。材料としては、Samia属に分類されているエリサンおよびシンジュサンの孵化幼虫、5齢幼虫各組織、成虫頭部を用いて解析した。エリサン、シンジュサンは亜種関係にあり、両種のエステラ-ゼアイソザイムについて比較検討した。その結果、5齢幼虫組織として、中腸、脂肪体、絹糸腺、マルピギ-管、精巣、卵巣の以上7組織において調べたが、特に中腸組織と絹糸腺でステラ-ゼアイソザイムの存在を確認した。この結果はテンサンのエステラ-ゼアイソザイムの存在器官と同様であった。そこで中腸組織および絹糸腺を材料として類縁関係を検討することが有効であると判断した。一方、成虫頭部におけるエステラ-ゼアイソザイムを調べたところ、種特異的なアイソザイムの泳動パタ-ンが認められた。エリサンおよびシンジュサンの成虫頭部のアイソザイムについて比較した結果、両種の泳動パタ-ンには類似点も認められたが若干の違いがみられた。しかし、それぞれの雌雄間における差は、ほとんどないものと判断した。また、テンサンのアイソザイムの泳動パタ-ンでみられたような若干の違い(個体によって活性の強弱がある)は認められなかった。孵化幼虫におけるアイソザイムの泳動パタ-ンには、大きな違いが認められた。以上の結果から亜種間でも大きな差がみられることが判明した。現在までは、エステラ-ゼアイソザイムについて発育段階および組織を変えてそのパタ-ンを比較し類縁関係を考え、若干の知見が得られた。今後は、他の酵素のアイソザイムについても比較検討を加えたい。また、野生絹糸虫類の起源とその類縁関係を知るためには、さらにヤママユガ科に属する他の種についても比較検討し類縁関係の解明を行う必要があると考える。
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