研究課題/領域番号 |
63560060
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉村 悦郎 東京大学, 農学部, 助手 (10130303)
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研究分担者 |
浜田 典明 東京大学, 農学部, 助手 (20172976)
大久保 明 東京大学, 農学部, 助手 (20111479)
山崎 素直 東京大学, 農学部, 助教授 (00011982)
戸田 昭三 東京大学, 農学部, 教授 (40011845)
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キーワード | 植物 / 重金属誘導のペプチド / 重金属耐性 / ファイトケラチン |
研究概要 |
1.Phytochelatin(以下PC)の単離 3μMCdを含有する水耕液で7日間栽培したトウモロコシの根の抽出液をゲルろ過およびイオン交換クロマトグラフィーによりCd結合物質を単離精製した。このアミノ酸組成はGlu、Cys、Glyで全アミノ酸の80%を占め、またGlyに対するGlu、Cysの比はそれぞれ5.9、4.6であった。またN末端アミノ酸はGluであり、C末端アミノ酸はGlyであった。したがって、本物質は平均重合度が5程度のPCからなることが明らかとなった。また本物質のCd、全硫黄、SH基、遊離型硫黄の定量結果より全硫黄中の約半分が酸化されていること、ならびにSH基の約5分の1程度の遊離型硫黄の存在が確認された。したがって、本物質は種々の重合度を持ったPCが-S-Cd-S-あるいは-S-S-結合を介して結合していることが明らかとなった。 2.PCの分離分析 PCの分析には種々の蛍光あるいは発光ラベル化剤について検討した。その結果、ODSを用いた高速液体クロマトグラフィーで分離した後、SH基に特異的な5、5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)でポストラベルする方式が最良の結果を与えた。精製したCd結合物質を本法で分析したところ、γ-グルタミンシスティンユニットの異なるPCが7本観測された。また、Cdを含む水耕液で栽培したトウモロコシの根と葉を分析したところ同一のクロマトグラムが得られた。よって、本法によりPCの分析が迅速に行なえることが分った。 3.他の金属によるPCの誘導 金属によるPC誘導能の差異をみるために40μMのCuを含む水耕液で8日間栽培したトウモロコシの根からCdの場合と同様の抽出分離操作を行つた。この物質のアミノ酸組成はGlu、GlyおよびAspの含量が高く、全アミノ酸の60%を占めていた。Cu結合物質はCdの場合と比べるとCys残基が少なく、PCはCdにより特異的に誘導合成されるものと推察される。
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