研究課題/領域番号 |
63560063
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 雅広 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (10160772)
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研究分担者 |
佐藤 光 九州大学, 農学部, 助教授 (70128031)
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キーワード | イネ / 種子貯蔵タンパク質 / デンプン性胚乳 / 突然変異体 / 登熟 / グルテリン / プロラミン / プロテインボディ |
研究概要 |
申請者は2種類のプロテインボディに存在する種子貯蔵タンパク質の量的、及び質的に変動したイネ突然変異体を用いてそれらが有している遺伝的特性が実際の栽培条件下で発現されるのかどうかを明確にするために、登熟期の窒素の施用量に対する各突然変異体の各貯蔵タンパク質含量の変化を免疫化学的手法を用いて調べ、それらの遺伝的特性を評価した。種々の窒素濃度の水耕液中で栽培し、完熟させた各突然変異体の種子のグルテリンとプロラミン含量を両タンパク質に特異的な抗体を用いて定量し、原品種:金南風の各タンパク質の含量と比較した。現在までに以下の結果が得られた。〔1〕窒素濃度標準(40ppm)の場合突然変異体(グルテリン蓄積型:CM21、プロラミン蓄積型:CM1675)の内CM21ではグルテリン量が金南風に比べ、1.4倍と多く、反対にプロラミン量が0.5倍と低かった。一方、CM1675はグルテリン量は金南風とほぼ同じであったが、プロラミン量は2倍であった。〔2〕窒素濃度を標準の1/4に低下した場合、金南風では標準に対してグルテリンが20%、プロラミンは30%低下した。反対に標準の4倍にするとグルテリンは、10%増加し、プロラミンは15%増加した。〔3〕突然変異体では標準の1/4の場合、種子の生育が著しく悪かったため、両突然変異体共にグルテリンとプロラミンの低下が著しかったものの評価は出来なかった。標準の4倍では両突然変異体のグルテリン量は10〜20%増加し、他方、プロラミンも15〜20%増加した。以上の結果、登熟期の窒素濃度変化によって原品種:金南風ではグルテリンとプロラミンの含量が変化することが判明した。突然変異体では特に、窒素濃度の低下によって種子生育そのものに影響を受けるがグルテリン蓄積型とプロラミン蓄積型いずれの場合もそれらの遺伝的特性は異なった栽培条件下においても発現されることが判明した。
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