レーミオ・イノシトール-1-リン酸合成酵素(EC5・5・1・4、MIPS)の活性はMurashige-Skoog培地では全く発現しないが、同培地からミオ・イノシトール(MI)を除いた培地では、対数増殖初期において細胞当り最大の活性を発現した。(5日目)。 1.培地中のMI濃度を100mg/〓からOmg/〓まで変化されると、MIPS活性はMI濃度に対応してシグモイド型に発現し、変曲点はMI濃度約20mg/〓であった。この際各MI濃度におけるMIPS活性を調べたところ、〓が一定であるにかかわらず、Vmaxのみが活性に比例して変化することから、MIによる活性調節は活性阻害ではなく、酵素分子の合成に対しての調節であることが示唆された。 2.酵素の精製は、20%グリセリン、2mMメルカプトエタノール存在下で行った。硫安分画(40-50%)、DEAE-トヨパール、ブチル-トヨパール、ヒドロキシルアパタイト、セルロファイン-2000、及びクロマトフォーカシングによって比活性600倍〜酸素の活用測定は細胞中に含まれる強力な非特異的ホスファターゼのため微生物定量法によざるを得なかったが、精製途中からホスファターゼ活性が除かれるため、過ヨウ素酸酸化-マラカイトグリーン法の採用によって活性測定は迅速化かつ簡便化された。 3.本酵素はグルコース6-リン酸のみに基質特異性を示し、他の気質アナログには全く活性を示さなかった。また種々の糖リン酸による阻害は1mM濃度において、6-ホスフォグルコン酸、リブロース5-リン酸、リボース5-リン酸、フルクトース6-リン酸はそれぞれ72.0、39.6、72.3及び14.5%の活性の減少がみられ、とくにペントースリン酸経路のメンバーによって阻害をうけた。以上からMIPSは生体内でMI生合成の調節に重要な働きをしてることが明らかになり、今後分子レベルの解明を期待する。
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