研究概要 |
1.Z.mobilisの表層脂質から遊離セラミドを単離し、本脂質の分子種はN-2-palmitoyl-1,3-dihydroxyhexadecaneであることを明らかにした。 2.Z.mobilisのホスファチジルエタノ-ルアミン(PE)完全欠損変異株を単離して、本菌の3つのメチル化反応(PE→PMME→PDME→PC)がただ1つの酵素によって触媒されていることを遺伝学的に明らかにした。現在は、本精製酵素のN末端アミノ酸配列を決定し、その情報からDNAペロ-ブを化学合成した後、大腸菌-pUCプラスミド系のコロニ-ハイブリダイゼイションによって本酵素遺伝子をクロ-ニングしようとしている。 3.Z.mobilisのテトラヒドロキシバクテリオホッパン(THBH)完全欠損変異株をナイスタチン抵抗株として単離した。本変異株のTHBH含有量は親株のそれに比べて約20%までに減少した。本変異株のアルコ-ル耐性は保持されていたが、高濃度グルコ-ス耐性は低下していた。 4.Z.mobilisのナイスタチン抵抗株のなかからTHBH含有量が親株に比べて約3倍に増加したTHBH増量変異株を単離した。本変異株とTHBH欠損変異株のTHBHとその誘導体(グルコサミンTHBHとエ-テル型THBH)の定量分析の結果は、THBHが両誘導体の直接の前駆脂質とは考え難く、むしろ、THBHのtetrahydroxypentane側鎖と両誘導体のtrihydroxypentenyl glucosamineおよびtrihydroxypentenyl carbocyclic pseudopentoseの側鎖は、それぞれ独立してhopane骨格へ導入されることが示唆された。
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