本年度は当初ブラシノステロイドのラクトン体の誘導体を合成する予定であったが、実験の進行具合からケトン体ブラシノステロイドの誘導体の合成にとどまった。Stignasterolをトシル化した後、重炭酸カリ-含水アセトン中煮沸することによりi-stigmasterol(1)を得た。これをクロム酸酸化し6-Keto-i-Stigmasterol(2)を得た。これをアセチル化後MCPBAでエポキシ化してから、アセチル基をはずして、22、23-epoxy-6-oxo-5α-ergostanol(3)を得た。一方castasteroneの6-(0-carboxymethyl)Oxime(4)をも合成した。以上4種の化合物はcastasterone酸化酵素と拮抗的に結合して、ラクトンへの酸化を防げる結果として、抗ブラシノステロイド作用を示す可能性が考えられるので、各化合物をその濃度が1ppmと0.1ppmになるように、castasterone0.005ppm、および0.0005ppmの溶液に溶かしこみ、イネ葉身屈曲試験における活性を測定した。しかしながら、これらの化合物に抗ブラシノステロイド活性は見出せなかった。なおカスタステロンのオキシム体には、むしろ明瞭なブラシノステロイド活性が認められた。
|