1.植生季節変化の現地観察結果について。 前年度の反省に基づき5月中旬〜6月中旬の新緑の季節に重点をおいて観察をおこなった。新緑の時期については植生間で差が認められた。カラマツが一番早く5月中旬〜下旬、次いでシラカバ(5月下旬)、ズミ(6月上旬)、ミズナラ、ホザキシモツケ、湿原の草本類(6月中旬)の順であった。ササの芽ぶきは5月下旬であったが、新緑の葉が旧葉の上まで伸びきるのは7月上旬〜中旬であった。紅葉・落葉の時期については植生によって明確でないものもあった。シラカバは9月上旬より下旬にかけてさみだれ的に枯れた葉から落葉し始め、10月中旬には半数の葉が落葉し下旬には枝にみになった。カラマツは9月上旬より黄緑に変色開始、10月上旬には黄変、中旬には褐色となり下旬には半数の葉が落葉した。ズミは10月上旬には紅葉し中旬には落葉した。 2.ランドサットTMデ-タ特性について。 パソコンによるランドサットTMデ-タ解析プログラムを開発し、デ-タ特性の季節変化を調べ、赤外波長帯情報(特にチャンネル4)が植生調査に有効であること、デ-タ観測時期では新緑の情報をもった5月の観測デ-タが植生調査に有効であること、TMデ-タ合成画像がMSSデ-タ合成画像と比べ、湿原内の植生タイプの差を予想以上に細かく表示できることが明らかとなった。TMデ-タのチャンネル4のデ-タ特性はデ-タの観測時期によって大きく変化し、5月の観測デ-タでは植生タイプ間での差が明確であった。チャンネル5と7も赤外バンド情報であるがチャンネル4とは異なる特性を示し、植生タイプ間でもデ-タ特性が異なる。チャンネル5と7については今後更に利用・研究の余地が残されている。
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