1.空中写真による植生の時系列変化:1952年〜1988年までに撮影された10種類の空中写真を判読した結果、特に北戦場ヶ原及び東戦場ヶ原における植生変化の著しいことを確認した。また戦場ヶ原北西部及び小田代原に植林されたカラマツの成長が著しいことを確認した。 2.現地植生の季節変化:植生タイプによって新緑・紅葉・落葉の時期が異なっていることを確認した。新緑の時期はカラマツが一番早く5月中旬〜下旬、次いでシラカバ(5月下旬)、ズミ(6月上旬)、ミズナラ、ホザキシモツケ、湿原の草本類(6月中旬)の順であった。紅葉・落葉の時期は植生によってその期間の長さも異なっているが、カラマツとシラカバが9月上旬より葉の変色が始まるのに対しミズナラは9月下旬に紅葉を開始した。10月下旬にはシラカバとミズナラは完全に葉を落としたがカラマツには半分ほど褐色の葉が残っていた。 3.ランドサットデ-タ特性:パソコン用ランドサットデ-タ解析ソフトを開発してデ-タ特性を調べた結果、ランドサットMSSデ-タ、TMデ-タ共に赤外バンドの反射輝度情報が植生の季節変化に敏感に反応し、また植生タイプの違いを良く反映していることを確認した。ランドサットデ-タの観測時期では新緑の5月が最も植生区分に適していることが明かとなった。またTMデ-タを用いた合成画像はMSSデ-タの画像に比べて、予想以上に細かい植生分布を表現することができ、戦場ヶ原湿原内の植生区分の道具として大きな可能性をもつことが明かとなった。TMデ-タのチャンネル4はMSSデ-タのバンド7と似たデ-タ特性をもっているが、TMデ-タのチャンネル5と7は異なるデ-タ特性を示し、これらのチャンネル情報が具体的に地上植生のどんな変化に対応しているのか今後の研究課題である。
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