1.尿素処理後の森林土壌(L〜F層およびHA層)の全炭素量および全窒素量を経時的に調査し、以下の知見を得た。 (1)全炭素量はL〜F層では5〜6月に、HA層では6〜7月に減少した。尿素処理区の全炭素量は、L〜F層ではこの減少がみられず、HA層でもこの減少が緩やかであり、いずれも無処理区より大きい値を示した。 (2)全窒素量は、L〜F層では一年を通じてほぼ一定の値を、HA層では、6〜7月に減少した。尿素処理区の全窒素量はL〜F層、HA層とも無処理区より大きい値を示した。 (3)遷移前期のアンモニア菌の発生の増大時期と、HA層における全炭素量、全窒素量の増大時期に対応がみられた。 (3)有機態窒素量の内の加水分解性窒素の1/2以上はアミノ酸態窒素であった。尿素処理区のL〜F層で、6月26日以降、すなわち、遷移前期のアンモニア菌の発生が減少する頃以降、遷移後期のアンモニア菌の発生中高い値を示した。 2.尿素処理後の土壌動物相を経時的に調査し、以下の知見を得た。 (1)線虫類の総数は、尿素処理直後から遷移前期のアンモニア菌の発生直前まで減少することを除き、無処理区と同様の季節変動を示した。 (2)ヒメミミズ類の総数も、尿素処理によって線虫数の場合とほぼ同様の変動パターンを示した。 (3)植食性あるいは菌食性のダニ類の総数はアンモニア菌の発生料に対応した変動パターンを示した。 3.次年度は、上記と同様の調査を更に進めると共に各アンモニア菌の生理特性の調査を進め、アンモニア菌の発生・遷移機構を推察する。
|