研究概要 |
尿素処理に伴う森林土壌真菌,細菌,細胞性粘菌の生存量(=バイオマス)の動態を希釈平板法によって調査して以下の知見を得た。 1.尿素処理直後,土壌真菌の生存量は急減したが,アンモニア菌の発生時には対照(尿素無処理)区の生存量とほぼ等しい値を示すようになった。 2.対照区の全細菌の生存量は,LーF層とHA層のいずれにおいても,1年を通じてほぼ10^8〜10^<11>個/g生土の範囲で変動し,夏期に増大傾向を示した。 3.尿素処理区の全細菌の生存量は,L〜F層とHA層のいずれにおいても,処理後急減したのち急増に転じ,遷移前期のアンモニア菌の一種,Peziza moraveciiの発生終了時まで対照区の全細菌の生存量より高い値を示した。その後,処理区の両層の生存量はともに対照区の生存量とほぼ等しい値を示すようになった。 4.クリスタルバイオレット耐性細菌の生存量についても,全細菌の生存量の変動とほぼ対応する結果が得られた。 5.対照区の細胞性粘菌の全子実体数(生存量)は,L〜F層とHA層のいずれにおいて10^2個/g生土以内の範囲で変動したが,明瞭な季節変動を示さなかった。 6.尿素処理区の細胞性粘菌の全子実体数は,処理直後及び遷移前期の子のう菌のP.moravecii発生開始時からC.phlyctidosporusの発生終了時まで,対照区の全子実体数より低い値を示した。
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