1.研究所の進展状況 北海道の函館、岩見沢および北見の各林務署管内のトドマツ人工林の中から、環境、生長段階の異なる8本の標本木を選び伐倒し、樹幹解析、樹冠構成枝の測定および葉量の測定を実施した。とくに、枝については、3次枝までの節間成長、着枝角、基部直径など詳細な測定値を得た。これらの測定データは、膨大なものとなったので、一定のフォーマットの構造のデータファイルを作成し、以後の利用の便に供するためのシステムを作成した。 2.新たに得られた知見 まだ一部のデータによる予備的な分析結果であるが、幹部、樹冠部ともに、樹高に対する幹直径、枝長の相対生長関係によって、極めて明解にそれぞれの形態の発達過程が説明できるとの予見がえられた。すなわち、幹部の樹高と直径との間には、樹冠内部と枝下部では、生長階程(growth gradint)を異にする2相アロメトリーが認められ、改めて幹形の形成に、樹冠部の発達程度が重要な要因となることが確かめられた。一方、力枝より上部の陽樹冠部での枝の伸長は、樹高に対してアロメトリー関係がそれぞれ保持されていて、1次枝→3次枝に向けて、等生長から劣生長へと規則的に変わる傾向のあることがわかった。目下、全データについてさらに詳細な分析を進めており、この結果からは、トドマツを例にしてその樹形の形成過程を、生物学的見地から、計量的に説明を加えることが期待される。
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