九州大学農学部附属糟屋演習林のスギ壮齢人工林の中から、樹冠級の異なる4本の標本木を選び伐倒し、樹幹解析および樹冠構成枝の測定、葉量の測定を行った。特に、枝については、成長解析のための円盤の採取、着枝角、基部の直径など詳細な測定デ-タをえた。上のスギのデ-タと初年度の調査によるトドマツ、さらに、カラマツのデ-タを用い、幹部について樹高と直径との間の相対成長関係の分析を進めた。この結果、3樹種に共通して、幹部については、最下部の根張り部分を除いて、すべての横断面において、垂直方向の樹高と水平方向の直径とは一定の相対成長関係を保持して成長していることが明らかにできた。すなわち、スギ、カラマツにおいても、トドマツと同様に、樹冠部と枝下部とに相対成長関係を異にする2相アロメトリ-関係が成立しており、幹形の形成に樹冠の発達が主要な因子となっていることが確かめられた。この成果は、従来提案されてきた経験的な幹曲線式に、生物学的な意味ずけを与えるとともに、幹形の形成過程を計量的に説明するものである。樹冠部の相対成長関係には、明らかに3樹種の差が認められ、樹種特性の計量的表示の可能性が期待できる。なお、樹冠構造については、引き続き詳細な分析を進めている。
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