研究概要 |
平成元年度の植生調査は、マツ枯れの著しい石川県の数林分で行った。自然侵入した広葉樹のうち、高木性のせのではナラ類(コナラ,クヌギ等)が、小高木性のものではサクラ類(ヤマザクラ,ウワミズザクラ等)を中心に、ヤマウルシ、ヌルデ等がいずれの林分でも認められた。 一方、新潟県村上市の固定調査地での結果としては、まず、照度計を使った相対照度の定期調査から、閉鎖林分と非閉鎖林分をそれぞれの光環境の季節変化の違いが明らかになった。 アカマツおよび自然侵入広葉樹の実生を対象にした生残調査の結果から、マツ優占林分と広葉樹侵入林分それぞれで生残パタ-ンが異なることが明らかになった。 侵入広葉樹の林内での分布様式、結実特性などの調査から、いくつかの侵入パタ-ンが予想された。なかでもヤマウルシ主体のド-ム型パッチの拡大過程についてのモデル(紙谷他、'89)は新しい考え方である。また、海岸林の代表的な先駆種であるサクラ類に関しても、繁殖特性についての新知見が得られている。 林内に設置したシ-ドトラップの定期回収調査から、アカマツ落下種子および侵入広葉樹種子の種類組成(主にヤマウルシ)の季節変化が明らかになった。 また、堅果類の散布者としての野ネズミの生態的意義を明らかにするために、シャ-マントラップを使った野ネズミ類の捕獲調査および夜間自動撮影装置による堅果類の持ち去り状況調査を行った。その結果、海岸林における野ネズミのホ-ムレンジは、これまで報告されているブナ林等にくらべるとかなり広いことが明らかになった。 調査デ-タはすべてパソコンで分析するとともに、一部は新潟大学総合情報処理センタ-のコンピュ-タで分析を行っている。
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