研究概要 |
円高が木材需給に及ぼした影響を検討すべく、外材輸入及び木材加工流通の実態を調査した。対象地域は、最近急速に規模拡大を図り、西日本に多大な影響をもつに到っている広島県呉や松永の外材輸入港湾地帯と大工不足、円高の進行により最近急速に増加し、従来の木材加工流通のイメージを一新しつつあるプレカット生産を行っている広島、東海、関東地域である。 調査の結果、主に次のようなことが判明した。 1)近年、外材製材工場の大型化、合理化が円高の影響で一層進行し、従来の外材製材工場は、プレカット加工を行いつつ、住宅建築部門の一端を担い、製材は特注のみに絞るケースがみられる。 2)大型化、合理化した工場では、1社で宮崎県全体の原木消費量にほぼ匹敵する年間約90万m^3程の原木を挽き、アメリカから東京の小売店までの生産、流通コストが8,000〜9,000円/m^3にしかならない程、徹底した合理化を計っている。 3)円高により外材完成品の輸入が増大し、しかもその品質が国内挽きのものより良くなってきている。 4)昭和57年のプレカット住宅は約9,000棟であったが、昭和62年度は3.5万棟に及んだと云われる。このうちの約6割は関東、東海等の大都市圏であるが、中には全国にグループ会社を持って、従来の軸組工法の欠点であった。住宅部材の規格化、均質化に取り組み、着実に需要を伸ばしている所もあり、全国的にプレカット化の指向が強い。 5)プレカットの使用部材をみると、7〜8割以上が米材で今後、プレカット住宅が増えると外材使用比率は一層増加すると思われる。また、木材の入荷先は、従来の流通経路とは異なり、独自で直接生産者、商社等から仕入ている所もあり、従来の流通を大きく変える可能性もある。
|