研究概要 |
今年度は、関西圏の需給、流通のアンケ-ト調査、及び産地を代表して、宮崎県の諸塚村、東郷町の森林組合の木材資源及び供給実態を踏まえ、最適な伐採計画と労働配分問題並びに個別農家林家の経営と伐出労働力としての可能性等を、線型計画法によって検討した。その主な成果は、以下の通りである。 1.関西圏は、JR、私鉄等の沿線に広がりをみせ、30〜50km圏以上に及び特に兵庫県の三田市は、大阪のべットタウンとして、特に著しい開発が進んでいる。しかもワシントン村、シアトル村、バンク-バ-村など米国、カナダからの産直住宅村が出来つつある。2.木材の流通は従来から小売業の力の強いところであるが、機械プレッカト材の急増と共に、大手住宅企業がこれらの小売等従来の流通を経由しないで木材を仕入れるという首都圏タイプの流通が出来つつある。3.関西圏においても首都圏同様、木材も単なる製材品として出荷するのではなく、これら大手住宅企業も含めた末端需要に直結した住宅部材として、太いパイプの供給システム化が必要である。4.伐出費に最も正の相関を与えるのは、車道からの距離で、路網密度の高さは少量でも伐採出来ることから、逆に伐出量を減らし、必ずしもコストダウン、生産性の向上に結びついていない。5.伐採のL.P.分析の結果、現在規模の伐出、労働力下にあっても、伐採林地や労働力の配分を改善すれば、もっと効率よくかなりの収益を上げ得るといえる。6.宮崎は消費地までの輸送コストが高く、産地化を妨げる要因となっているが、共同出荷による木材専用船の活用等によりこの不利はかなり克服できる。7.300万円の利益を上げている個別経営分析では、労働時間よりもRMAの制約の方が大きくかなりの加重労働になっている。8.また、現在の6,000〜7,000円/人日の賃金では臨時で伐出労務等に携われば、現状よりも収益を上げ得るが、専従では不利である。
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