Pseudomonas属細菌TMY1009によるβ-エーテル型リグニンモデル化合物分解に関与するCα-デヒドロゲナーゼ産生遺伝子のクローニングを目的に実験を行ない以下に示す成果を得た。 TMY1009株から60Kb以上の高分子ゲノムDNAを調製し、これを制限酵素で部分分解し、さらにシュークロース密度勾配遠心分離により20〜50KbのDNA断片を精製した。一方、コスミドベクターpHC79を制限酵素で切断後、ホスファターゼにより脱リン酸処理をし、DNA断片をリガーゼを用いて接続した。これをパッケージングによりファージに取り込ませ、E.coliDH-1株にトランスフェクションさせた。その結果、1μgあたり約3000〜4000の形質転換株が得られ、TMY1009株の全ゲノムをカバーする遺伝子ライブラリーを構築することができた。 上記形質転換株は1500クローンについて、酵素活性の検出によりCα-デヒドロゲナーゼおよびプロトカテック酸-4、5-ジオキシゲナーゼ産生株をスクリーニングした。その結果、プロトカテック酸-4、5-ジオキシゲナーゼ産生株を2株選抜することができたが、Cα-デヒドロゲナーゼ産生株は見出せなかった。 これとは別に、Cα-デヒドロゲナーゼのアミノ酸配列をもとに作成した合成DNAプローブによるハイブリダイゼーションを用いてクローンを選抜することを目的に、Cα-デヒドロゲナーゼのN末端側から22番目までのアミノ酸配列を決定した。さらに、Cα-デヒドロゲナーゼを部分分解し、中間部分のアミノ酸配列の決定を試みた。 また、Cα-デヒドロゲナーゼのセルフクローニングを目的に、TMY1009株を宿主にできるプラスミドを作製し、さらに電気パルス法による高効率形質転換法を確立した。
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