本年度は釘を自動釘打機を用いて打った場合と、手打ちの場合について、木材組織の破壊状況、保持力の違いを主に実験によって検討した。 1.〔実験材料〕主材木材:ベイツガ、SPF(スプルース・パイン・ファー)、側材;ベイマツ合板(9mm、3プライ)、ラワン合板(9mm、5プライ)、スギ板(9mm)、釘;各種コモンネイル、各種胴部形状釘(スムーズ、スクリュー、リング) 2.〔実験〕1)釘を打ち込んだ際の木材組織の破壊状況を超軟X線及び走査型電子顕微鏡で観察した。2)釘の引抜抵抗試験を行い、打込方法の差、胴部形状の影響を調べた。3)2)と同様のことをせん断試験について行った。 3.〔主な結果〕(1)釘の胴部形状によって木材組織の破壊状況は大きく異なり、リング釘はスムーズやスクリューに比べると木材組織の破壊が顕著であった。打込方法による差はほとんど見られなかったが、さらに細かな検討を行う予定である。 (2)釘の引抜抵抗力は手打ちと機械打で平均値には差が見られなかったが、ばらつきは機械打ちの方が大きかった。引抜荷重と引抜き量のグラフは胴部形状ではっきり異なった。引抜抵抗力に及ぼす胴部形状の影響を調べた結果、抵抗力はリング釘>スクリュー釘>スムーズ釘の順になったが、吸収エネルギー量はスクリュー釘が最大であった。スクリュー釘については、ねじの傾斜角及びねじ山の条数を変化させた実験を追加し、最適スクリュー形状を求めた。 (3)釘のせん断耐力の初期剛性は、機械打ちの方が手打ちより大きかったが、降状荷重、最大荷重については差が見られなかった。リング釘は木材組織の破壊が大きいため、初期剛性は一番劣った。 (4)木材の割れと引抜及びせん断耐力の関係を実験と解析で検討中である。
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