工期の短縮と人手不足の解消の両面から自動釘打機の重要性は増している。本研究は自動釘打機を用いた釘接合部の引抜きとせん断耐力機構を手打ちおよび試験機による圧入方式と比較しながら明らかにして、合理的な接合部設計に資することを目的とした。 1.〔引抜き耐力〕:実験は4つに分かれる。実験1では釘の打込み方法と引抜き耐力の関係を、実験2では特殊釘について胴部形状と引抜き耐力の関係を、実験3では釘尖端形状と引抜き耐力の関係を、実験4では釘を打ったとき生じる木材の割れと引抜き耐力の関係を調べた。得られた結果を要約する。1)走査電顕の観察によると釘打機は手打ちよりも木材繊維が打込み方向に激しく食い込む。2)引抜き耐力は釘打ちによる木材の割れ面積と比例関係にある。3)スム-ズ釘の引抜き耐力は、機械打ち(プラシ-ト連結)、手打ち、圧入の順で、3者の差はベイツがよりもSPFの方が、また比重の低い材の方が大きかった。4)機械打ち(ワイヤ-連結)は手打ちよりも10〜20%引抜き耐力が劣った。ただし、リング釘は差がなかった。5)コ-ティングによって、耐力は20〜50ぱ増加した。コ-ティング剤の開発も今後の重要な課題である。 2.〔せん断耐力〕:機械打ち(ワイヤ-連結)と手打ちでせん断耐力機構にどのような差がでるかを、軟X線による観察も含めて検討した。得られた結果を要約すると次の通りである。1)機械打ちと手打ちで、せん断剛性及び強度の有意差はなかった。ただし、プラシ-ト連結については検討の余地がある。2)主材がSPFの場合、ベイツガよりも初期剛性が上回った。釘打ちによる割れが少ないためと考えられる。3)リング釘は初期剛性がスム-ズやスクリュ-に比べると劣った。側材がスギの場合にこの傾向が強かった。リングによる側材の破損と考えられる。 以上機械打ちの特徴を捉えることができた。今後更に発展させたい。
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