1.本研究は接着、釘着あるいは両者を併用して接合した木質材料を海水浸漬促進暴露あるいは海岸地域に屋外暴露した後の接合部の破壊強度および塩分集積量を測定して接合部の耐久性を評価することを目的とした。 2.ブナ挽板を主材(心材)としてその両面にブナおよびアカマツの素材挽板および木質材料(合板、パ-ティクルボ-ド、ファイバ-ボ-ド)を添え板にしたダブルラップ接合せん断試験片を作製した。試験片は(1)接着接合(接着剤はレゾルシノ-ル系および水性高分子イゾシアネ-ト系の2種類を用いた)、(2)釘接合、(3)釘-接着剤併用接合(以下併用接合という)の3種類とした。また、材料の厚さが5mmで幅が20mmの小型試験片と厚さ12mm、幅30mmの中型のものを作製して、海水および水道水への減圧浸漬促進試験を小型のもので、海水浸漬-乾燥繰返し試験および海岸地域での屋外暴露試験を中型のものを用いてそれぞれ行った。暴露後の最大破壊荷重および塩分集積量を測定し、測定デ-タを解析して耐久性の評価に関する多くの知見が得られた。 3.(1)小型試験片による促進暴露試験において接合力(最大破壊荷重)は素材より木質材料を接合した場合が常態に対する低下割合が大きく、暴露サイクルが増加するにつれて顕著になった。しかし、海水と水道水との間、接着接合と併用接合との間および接着剤間には明確な差は認められなかった。(2)中型試験片を用いた促進暴露試験においても素材より木質材料の劣化が大であった。屋外暴露後の接合力と促進暴露6サイクル後の接合力を比較すると接着接合、併用接合ではほぼ片同じ値となったが釘接合では屋外暴露の方が低い値となった。(3)塩分集積量は暴露サイクルとともに増大し、接合力の低下と相関関係のあることが認められた。4.海岸地域における接合部の耐久性を正確に評価するためにはさらに長期間にわたってデ-タを畜積していかなければならない。
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