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1988 年度 実績報告書

リグニン中のβ-O-4結合開裂反応の機構と制御

研究課題

研究課題/領域番号 63560172
研究機関九州大学

研究代表者

坂井 克己  九州大学, 農学部, 助教授 (30015656)

キーワードリグニン / β-アリールエーテル結合 / 脱リグニン反応 / 蒸解
研究概要

まず反応機構検討のため種々のβ-O-4型2量体を基質とし、2%亜硫酸水素ナトリウムを含む50%アルコール溶液中160℃で処理して、主生成物であるグアイアコールとイソオイゲノールを定量し、開裂反応の指標とした。
1.非フェノール性単位の反応:グアイアシル核を持つβ-O-4型2量体は開裂反応を受けるのに対し、ベラトリル核を持つものは上記条件下で安定であった。
2.α位の酸化段階の影響:α位がメチレン、カルビノールおよびカルボニルである3種の化合物を処理すると、カルビノールのみが開裂反応を受けた。したがって、この反応はキノンメチド構造を経て進むことが強く示唆された。
3.反応中間体の推定とその反応:キノンメチド構造を経るとすれば、α-スルホン酸またはα-アルキルエーテル型でβ-O-4結合を有する2量体を中間体として反応が進行するのではないかと考えた。しかし、α-スルホン酸からはイソオイゲノールは生成せず、α-アルキルエーテルからの生成量もα-カルビノールからの値に比べて低くなっており、これら2種の化合物は中間体でないことが確認された。
以上の結果より、現段階ではキノンメチド中間体のホモリシスによる開裂機構と、キノンメチド中間体への1電子移動により生じたラジカルを経る開裂機構とが考えられるが、実験的証明を得るに至っていない。来年度に残された課題である。
なお、開裂反応の制御として最適反応条件を求めるため、24種の有機溶媒を用いた結果6種の溶媒がこの反応に適していた。これらはいずれも第1又は第2アルコール性水酸基を持つ点で共通していることが明らかになった。

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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