研究課題/領域番号 |
63560178
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 豊美 北海道大学, 水産学部, 助教授 (40002349)
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研究分担者 |
中谷 敏邦 北海道大学, 水産学部, 助手 (80188979)
前田 辰昭 北海道大学, 水産学部, 教授 (00001595)
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キーワード | アカガレイ / 噴火湾 / 分布と回遊 / 水温 / 年令 / 成長 / 年級群 / 卵と仔稚魚 |
研究概要 |
本研究はほぼ本年度当初計画通り実施された。 1.成魚・未成魚調査を平成元年4月、5月、6月(各1地点)、8〜9月(16地点)の計4回実施した。今年度の成果は概ね次の通りである(1)分布・回遊:親潮系水流入期の2月には湾の底水温は2〜4℃と冷たく、魚群は湾南部(78m以浅)に集中する。親潮系水滞留期の5〜7月も低温(7月の湾北東部はかなり昇温)であるが主分布域は湾内深部(80m以深)へ移る。魚群の内部要因からみて、この分布域の変化は主産卵場と思われる八雲沖周辺から索餌場への移動であり、底質との関連が強い。水温が魚群分布に影響し始めるのは7月からで、津軽暖流水の流入・滞留期(8〜11月)の魚群は湾北東部および沿岸域を回避し、4〜7℃の低温な湾最深部に集中する。端的にいうと湾内底層域の深部は冬季噴火湾水(黒潮起源)が残存するため周年低温であり、これが寒海性種のアカガレイが繁殖できる重要な要因となっている。また、主生活域は泥底に形成されることから、好泥性ベントスの分布が魚群分布にどのように関与しているのかが今後の主要課題になる。 (2)年令と成長:透明帯輪紋数が年齢標示であることを確認し、アカガレイの成長式を求めた。また、年令組成の経年変化から、当海域のアカガレイには大きな年級群変動がみられることを明らかにした。 2.卵・仔稚魚調査は平成元年4月、12月および2年1月、2月(各月13〜21地点)に行ったが、3月にも実施する。12月と4月には極めて僅かであった卵の採集数は1〜2月に急増したが、密度は低かった。浮遊仔魚は1月から出現した。これら卵・仔魚はともに湾内でみられたことから、産卵および成育の場は湾内に限定されていると思われる。現在、発育段階別分布および餌料環境などを検討中である。
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