研究課題/領域番号 |
63560183
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福代 康夫 東京大学, 農学部, 助手 (10165318)
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研究分担者 |
石丸 隆 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90114371)
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キーワード | 海産渦鞭毛藻 / 従属栄養性渦鞭毛藻 / Dinophysis / Protoperidinium / 有性生殖 / 無性生殖 |
研究概要 |
1.東京湾、岩手県越喜来湾などで採集した渦鞭毛藻Dinophysisを蛍光顕微鏡を用いて観察した結果、D.acuminataやD.fortiiに光合成色素としてクロロフィルの他にフィコビリンが認められた。フィコビリン蛍光を示す色素体の形状と量が採集地によって異なること、及び渦鞭毛藻では通常見られない色素であることから、その起源が細胞内に取り込まれた異種生物であることが推測された。2.種々の微小プランクトンを餌料として、D.fortiiとD.acuminataの培養を行ったところ、クリプト藻Plagioselmis spを餌料とした場合にのみ、D.fortiiの増殖と色素体の減少率の低減に効果が認められた。3.D.fortiiとD.acuminataの摂餌方法として、粘性を増した細胞表面に微小プランクトンを付着させ、殻を貫通している細孔を通して細胞内に取り込むという過程が推測された。4.東京湾で採集したProtoperidinium leonisの游泳細胞とシストを材料とし、珪藻Thalassiosira anguste-lineataを餌料として培養を行ったところ、100日以上継続して培養株を維持でき、その間に無性生殖過程と有性生殖過程が観察された。5.無性生殖過程では、栄養細胞の分裂が薄膜で形成された小球の中で母細胞の殻の消化と並行して起こり、渦鞭毛藻の細胞分裂様式に関する従来の知見と異なることが明らかになった。P.leonisの平均倍加時間は、最高で約24時間であった。6.有性生殖は同型配偶子接合であるこが明らかになった。配偶子は栄養細胞より小型で外観が丸味を帯びている他は、栄養細胞との形態的差異は見られなかった。配偶子形成は栄養細胞の分裂と外見上全く同じ様式で行なわれた。接合子は餌料である珪藻を捕食して肥大しシストを形成したが、形成されたシストにはかなりの形態的変異が見られた。7.T.anguste-lineataを捕食するP.leonisに同種以外の珪藻を与えても捕食が全く起らず、かなり高度の餌料選択性のあることが示唆された。
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