本研究においては、漁場選定とくに魚群の探索に多大の努力を投入している海外カツオまき網漁業を取り上げ、漁場内における魚群探索の方法、操業の可否、および操業効率に大きく影響する漁場移動の決定等における漁業情報の利用機構について解明することを目的とした。 このため、海外カツオまき網漁船に乗船して、当該漁業において操業中に利用している漁業情報に関する資料を収集した。この資料は現在、研究室において解析中であるが、船間の漁況連絡による漁業情報の有効な利用方法と魚群探索のための最適な漁船の運航方法についての指針が得られるものと思われる。また、これらの研究成果の一部は昭和63年度と平成元年度の日本水産学会の大会において口頭発表した。 「船舶のトン数の測度に関する法律」が施行され、太平洋中央海区を操業区域とする海外まき網漁船は、新測度法では200トン以上351トン未満となった。これにより改装された、まき網漁船は魚艙の容積が増加した。そこで、焼津港において漁獲資料を収集し、漁獲に及ぼす測度法改正による改装の影響ちついて解析した。この結果、改装による積みトン数の増加は、航海日数、操業日数、投網回数を増加させたが、操業1回当たり漁獲量や投網1回当たり漁獲量は増加させなかった。この改装の効果は漁獲状況が良い場合ほど、年間航海数や年間漁獲量の増加にあらわれる。 さらに、海外まき網漁船ては、船橋付近の船体振動が魚群探索時の双眼鏡での見張りに影響するので、新造船の船体振動を測定した。その結果、この船の船体振動は見張りに影響しないことが判明した。
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