昨年度の研究により、シオミズツボワムシは大きく2つのグル-プ、L型、S型にわけられることがわかった。そこで本年度は両グル-プ間および、各グル-プ内での系統間の形態的、遺伝的類緑関係を前者は判別分析法により、後者は系統間の遺伝的距離により求めた。その結果、多くのワムシを形態的特徴を示す3つの測定値を用いて、計算によりL型、S型にわけることが出来るようになった。又、遺伝的距離を求めることにより、L型、S型はかなり遺伝的にも離れたものであることが判明した。 今年度はさらに、S型4株に特異なアイソザイムパタ-ンを示すものが発見されたので、それについても検討を加え、3倍体になっている可能性を解明した。 さらに、閉鎖水域である浜名湖、貝池(鹿児島県甑島)に生息するワムシ群について、その遺伝的構造をアイソザイムパタ-ンを調べることにより求めた。現在、結果の整理中であるが、貝池のS型ワムシは過去5年間に発生した系統は、1遺伝子座(Ldh)を除いては、どの遺伝子座も均質性を保っており、固定されたものであった。浜名湖については、目下鋭意検討中である。 なお、今年は、S型、L型の系統の染色体を観察することを試み、L型とS型の間では、その染色体数に差がある可能性を発見したが、この点については、今後研究を続け、明確な結論を得たいと考えている。
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