1.無毒養殖クサフグを親魚とし人工受精・ふ化・稚魚の飼育等クサフグを養殖し定期的に毒性をチェックするとともに常時実験に使用する養殖クサフグを確保した。 2.天然フグにはテトロドトキシン(TTX)の他にその誘導体である4epiTTXやanhydTTXが存在する。そこでanhydTTXを養殖フグに投与し、その蓄積状況と誘導体相互の変換を調べた。anhydTTXはTTXと同様に肝臓に最も多く40%近く、次いで消化管、皮ふ、生殖腺に蓄積された。又た僅ではあるが、anhydTTXからTTXの変換が認められた。 3.有毒天然フグとの混養により養殖フグが毒化すること、しかもその原因として細菌の関与が示唆された。そこで、クロラムフェニコールおよびテトラサイクリンの抗生物質添加あるいは無添加飼料にて有毒クサフグと養殖クサフグ、トラフグを混養した。クサフグでは全ての区で5日目に肝臓で毒化が認められ、厚生物質投与区でも無添加区と同様に毒化が進行した。混養による毒化には現時点では細菌の関与は少ないと考えている。本実験ではクサフグとトラフグに種による毒の蓄積に差があることが示唆された。 4.クサフグ腸内より分離したフグ毒性生菌(Shewanella putrefaciens)を無毒養殖クサフグ30尾、トラフグ10尾に30日間飼料に混合して投与し、10日目ごとにクサフグ5尾、トラフグ2尾を取り上げ肝臓、消化管、皮ふの毒性を調べた。30日間投与したトラフグの1尾が僅かながら毒化した他は全べて無毒であった。その毒性は肝臓および皮ふでそれぞれ、0.2MU/gおよび1.5MU/gであった。
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