研究課題/領域番号 |
63560204
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
喜田 和四郎 三重大学, 生物資源学部, 教授 (50024823)
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研究分担者 |
前川 行幸 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (90115733)
天野 秀臣 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (40024830)
野田 宏行 三重大学, 生物資源学部, 教授 (70024825)
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キーワード | 海藻 / タンパク質 / プロトプラスト / 組織培養 / アミノ酸 / 植物ホルモン / 抗腫瘍活性 |
研究概要 |
1)褐藻14種、紅藻1種からタンパク質抽出液を作成し、Spectra/Por Mwco.1,000(Spectrum社)を用いて高分子画分及び低分子画分に分け、マウスを用いて抗腫瘍活性を調査した。その結果、アカモク、ヒジキ、Ascophyllum nodosum、マツモの4種の高分子画分にのみ活性が認められ、そのIC_<50>値はそれぞれ70.7、71.5、80.2、73.4(μg/ml)で非常に低い値を示した。これら4種海藻の中から日本人が日常的に食べているヒジキをとりあげ、Sephadex Gー100を用いるゲル濾過で3画分に分画したところ、構成成分に糖を多く含む糖タンパク質画分が有効であった。ヒジキの糖タンパク質画分に抗腫瘍効果があることが判ったのは初めてである。 2)ヒジキの糖タンパク質を組織培養で生産するための培養条件を調査した。1カ月間の寒天培地上での培養により、植物ホルモン5種類の生長促進効果は対照に対し、サイトカイニンのカイネチンが4.5倍、ゼアチンが4.4倍、オ-キシンのNAAが2.8倍、2、4ーDが2.5倍、IAAが2.4倍であった。又、有機酸4種の生長促進効果については、αーケトグルタ-ル酸は対照の4.1倍、酒石酸4.0倍、リンゴ酸は3.3倍、クエン酸は1.5倍であった。更に、糖の生長促進効果については、グルコ-スが対照の3.0倍であった。1週間の液体培養による成分変化は、ゼアチンは糖含量を対照の4%増加させたが、タンパク質含量には変化がなかった。NAA、2,4ーDは糖含量を対照に対してそれぞれ11%、13%減少させたが、タンパク質をそれぞれ2%、5%増加させた。αーケトグルタ-ル酸はタンパク質含量も糖含量も変化させなかった。グルコ-スの添加は糖含量を対照の1.14倍増加させたが、タンパク質含量に影響しなかった。従って、抗腫瘍活性を持つ糖タンパク質の増加にはオ-キシンの添加が有効であることが示唆された。
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