研究概要 |
1.スサビノリから3種の細胞壁構築多糖を分離した: スサビノリを繰り返し85%エタノール中で煮沸して、藻体から可溶成分をほぼ完全に抽出除去した。得られた藻体(残渣)を繰り返し純水中で煮沸して、熱水抽出画分と残渣に分けた。前者から、エタノール分別沈澱により粗製ポルフィランを得、これをダウエックス50-X2(H^+)処理およびバイオゲルP-30ゲルろ過で精製した。残渣から、10%NaOHで可溶化後エタノール分別沈澱により、キシランとマンナンを得た。これらの多糖はいずれも、水に不溶であったが、超音波処理により可溶化することができた。ダウエックス50-X2(H^+)処理およびバイオゲルP-10ゲルろ過により精製した。スサビノリ細胞壁多糖は、ポルフィラン、マンナンおよびキシランから成り、これらの含量比はほぼ20:2:1であることが判明した。セルロースは認められなかった。 2.アワビ内臓からスサビノリマンナン分解酵素を精製し、その性質を明らかにした: 海藻を摂食しているアワビの内臓から抽出した粗酵素液中に、スサビノリマンナン(β-1,4-マンナン)を分解しうる酵素が比較的多量に存在することを見いだした。粗酵素液からこの酵素を、硫安分画、DEAEセファセルタロマトグラフィー、SP-セファデックスクロマトグラフィーおよびウルトロゲルA_cA34ゲルろ過により精製した。本酵素の分子量は25,000、最適pHは6、pH安定性はpH6〜8でほぼ安定であった。本酵素によるスサビノリマンナンの分解産物は、主に2〜6糖であった。 3.今後の研究計画: (1)スサビノリから分離した3種の多糖の構成糖を詳細に検討し、さらにこれらの構造を主にNMRで研究する。 (2)アワビ内臓からのマンナン分解酵素の基質特異性などを研究する。
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