初年度は牛肉、2年度は豚肉、鶏肉、3年度は鶏卵の生産・流通の段階別価格形成分析を行なう計画で本年度は牛肉をとりあげた。牛肉低コスト化のため、(1)繁殖、肥育の一貫生産の経営計画、(2)乳用種肥育生産流通の段階別価格形成分析、(3)牛肉産直の構造分析の3課題についてまとめたがその概要は次のとおりである。 (1)現在の繁殖牛経営は20頭どまりであるが肥育経営は500頭に達している。そこで前者は60頭、後者は100頭規模での一貫経営の経営試算を行なった。低コスト化は肥育牛生産費に占める素畜費(45%)の低減、労働費は多頭化、飼料費は自家(委託)配合化や自給化によって達成される。中でも素畜費の低減は一貫生産化により、その場合の繁殖部門での50%を占める飼料費は自給飼料生産化により低め、耕作規模拡大と作付体系の確立が肝要である。その場合の留意点を分析した。 (2)愛知県内肉牛生産は全国有数の生産県であるにもかかわらず、子牛の半分は県外依存で、素牛は北海道などから導入し肥育される。肥育牛は全消費換算頭数の35%にすぎず、その屠殺処理加工は更に低く11%にすぎなく、2/3の頭数は県外殊に大阪に出荷される。何故大阪に向うかといえば牛肉消費量が1人当たりに愛知の役2倍と多く、屠場規模も大きく、その処理費は安い。さらに副生物価格は愛知の2倍以上であるばかりでなく、体重の増加につれて高くなり、益々有利なことを示している。そのため、愛知県内では11%しか処理されず、県内ではUターン牛肉、県外牛肉を消費していることとなる。 (3)牛肉産直はマーケティングチャンネルの諸段階をバイパス化するものであるが、消費者の安全・品質志向は高い。今後、米国産、オーストラリア産牛肉の輸入により、どのように牛肉流通、その段階別価格形成に影響を与えるかを取り扱ったがいくつかの課題は次年度としている。
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