研究概要 |
畜産物生産・流通の段階別価格形式の分析を牛乳、豚肉、鶏肉、牛肉と進めてきたが、本年度は鶏卵をとりあげ、すべての畜産物についての品目別特徴と方向についてまとめた。 鶏卵生産と流通の特徴は次のとおりである。(1)他の畜産物と異なり、そのまゝ、食卓で食べられることのために農家手取率が高い。(2)生産立地は大都市近郊と東北・九州などの遠隔地の二つの農地に分化している。(3)そのため農家手取率は、流通費の拡大によって減少しつつある。(4)生産資材の購入が多く、経営費率が高い。(5)生産資材の海外依存率は高い。(6)にもかかわらず、国内自給率は98%と高い。(7)鶏卵は生産者ーG.Pセンタ-→輸送業者→荷受機関→小売店(ス-パ-など)にわたり、消費者に届けられる。このような流通経路をたどるにもかかわらず、流通経費は40%と少なく、畜産物中、最も効率的流通がなされ,農家手取率が高い。 流通効率が高いことはG.Pセンタ-など出荷処理機関が消費地(消費地G.P.)から生産地(産地G.P)に移ったこと,流通技術の進歩したことによっている。 畜産物の流通革命は鶏卵、ブロイラ-、豚肉など中小家畜でより早く進み、牛乳、牛肉がつづいている。これは生産効率、流通効率、流通費率、農家(又は生産者)手取率などによって示される。 外国と比較した場合、牛肉の流通効率はアメリカの3.65に対して、日本は3.29と低いが絶対的価格水準は高い。豚肉は台湾の1.96に対して日本は1.54である。ブロイラ-はタイ国の1.45に対して日本は3.50で高いのはインテグレ-ションが未だ進んでいないためである。鶏卵はアメリカの2.53に対して日本は1.60と最も進んだ分野である。
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